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地道にコツコツと仕事に向かい、そして悩む。25歳の「ワーキングピュア」たち

2015.10.27

25歳の若者たちは仕事に対してどんな意識を持ち、どんな環境で働いているのだろうか? そういう調査が連合(日本労働組合総連合会)などによっておこなわれ、その内容をとても読みやすくまとめた本『ワーキングピュア白書 地道にマジメに働く25歳世代』(プロジェクト25実行委員会、日経BP)を読んだ。

「はじめに」に、こうある。

25歳世代への取材を通じて見えてきたのは、彼ら、彼女らが、どのような環境にあっても、コツコツとまじめに働き、地道に生きようと努力しているという事実だった。
だれも皆、純粋にそして前向きに仕事と向き合おうとしている。

「ワーキングピュア」ということばは、そういう彼らの姿勢から名づけたそうだ。わたし自身が若い世代とつきあっている経験からも、本当にそうだと思う。

いまの時代に、自分にとって的確なロールモデルを探すというのはとても難しいだろうなと思う。たとえば、終身雇用が当たり前の時代だったころの「社内処世術」なんて今の時代にはあまり役に立たない。バブル世代は「昔は良かった」という懐古にいきがちだし、団塊ジュニア世代は就職氷河期のころからみな酷い目に遭ってきて疲れ切っている。その下の世代は元気だが、その活力をどこに向ければいいのかという明確な方位は見えにくい。とりあえず皆が試行錯誤するしかないのだ。

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さまざまな25歳が紹介されている。

会社員男性。大学在学中にインターンで働いたネット通販のベンチャーにそのまま就職した。上司は毎日終電で、社員全員がいっぱいいっぱいの状況。残業時間は月に100時間を超えたが、給料は上がらない。会社と自分が同化して「明るい宗教団体」みたいな感じの社風のなかで、ついに入社1年目にして身体を壊してしまう。倉庫に異動になったが、今度はパートさんたちとの関係がうまく行かず、上司との面談では「コミュニケーションを何とかしろ」と100回以上も言われ、ついに退職。決意したきっかけは、外部の勉強会に出るようになって自分の会社や仕事を客観的に見られるようになったことだったという。いまは人材開発会社で働いている。

介護福祉士の仕事をしている女性。大学の社会福祉学科を卒業し、現場を学ぼうと介護福祉施設に入った。残業代はほとんど出ず、日中の勤務でも休憩はない。入所者から暴言を吐かれたり、暴力を受けることもある。しかし1、2年もかけて声かけの方法を変えることで暴言が減ることもあるし、年齢の近い同僚と「こんなことがあった」と話し合うことで心を持ち直すこともある。そうやって頑張ってきた。嫌なことを家に持ち帰りたくないので、仕事の悩みは家族には話さない。

大手商社でITシステムの構築にたずさわっている男性。給料に不満はなく、今のところ解雇される心配もなく、恵まれていると感じる。しかし決定が遅く、社内政治が面倒な企業文化にこのままどっぷりと浸っていていいのかと思う。おまけに仕事は外部のITベンダーの管理をしているだけで、自分が直接プロジェクトを動かしているわけではなく、スキルが上がっていかないことに焦っている。転職してみたいが、リスクが不安で踏み切れない。

みんな将来に不安を感じているが、かといってその不安をどう乗り越えればいいのかという明快な回答はない。周囲に相談できる人も少ない。そういう状態にあがき、それでもポジティブに前に進もうとしている。そういう若い世代のすなおな心情が、すっと心に入ってくる。共感できる良い本です。

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